株式会社生活の木様

Digital Marketing

老舗企業を救った「データの一元化」
創業70年の老舗が挑んだ、アナログな壁を乗り越え見出した新しい顧客体験とは

(左から)株式会社生活の木 代表取締役 重永 忠 様 / 中村 佳央 様

「自然」「健康」「楽しさ」をコンセプトに掲げ、人々の暮らしに寄り添う商品を届けてきた株式会社生活の木。創業70年の歴史を持つ同社は、DXを推進することで顧客との関係性をより一層深めようとしています。
本インタビューでは、マーケティング本部の中村様に、アパレルウェブとともに実現した劇的な変化と、その先に描くビジョンについてお話を伺いました。

株式会社生活の木 マーケティング本部 中村 佳央 様

目次

ハーブとアロマの力で、モノだけでなく「豊かな時間」を創造する
顧客情報と業務の分断がもたらした、非効率な「管理」の壁
未来のビジネスを見据えた、運命的な選択
「見えなかった数字」が、未来を拓く羅針盤に変わった
生活の木が考える次なるステージ

ハーブとアロマの力で、モノだけでなく「豊かな時間」を創造する

株式会社アパレルウェブ(以下、AW):御社の事業内容について教えてください。

株式会社生活の木 中村さん(以下、中村さん):私たち生活の木は、「自然」「健康」「楽しさ」をコンセプトに、ハーブやアロマテラピー関連の商材を自社で製造・加工・販売している会社です。創業としては70年を迎え、ハーブやアロマに取り組んでからは50年を超えます。全国に約90店舗を展開しているほか、BtoBチャネルでは他社様向けに製品のOEMも行っています。また、スクール事業として講座も開設しており、教育的な取り組みも行っております。

AW:続いて、中村さんご自身の業務内容や役割について教えてください。

中村さん:現在マーケティング本部に所属しており、Shopifyやスマレジなどから吸い上げたデータの解析を行い、全社的な戦略立案やCRM、販促活動に活かす施策の統括を担当しています。

生活の木本社にあるハーブ。生活の木が大切にする、ハーブやアロマの原点。

顧客情報と業務の分断がもたらした、非効率な「管理」の壁

AW:ECサイトのリプレイス前には、どのような課題がありましたか?

中村さん:まず、顧客情報の一元管理ができていませんでした。弊社の店舗の約6割は百貨店内にありますが、そこでは主に汎用レジを使っていたため、POSデータが取得できていなかったんです。独自開発の簡易的なポイントシステムはあり、誰がいつ購入したかという情報は取れていたものの、「何を購入したか」という情報が取れていませんでした。
その結果、同一人物でも、ECと店舗で別々の顧客IDになっているケースも多く、笑い話のようですが、一人で5つのIDを持っているお客様もいました。誰が、どの商品を、どのタイミングで買っているかという購買行動を正確に把握できていないという課題がありました。

もう一点、BtoBに関しては、FAXでの注文が1日数十件ありました。FAXの場合、在庫がリアルタイムで動いているため、発注いただいた時点で在庫切れになっており、「申し訳ありません」とご連絡するケースも多々ありました。また、BtoBでは売掛(債権)も多く、ECであればクレジットカードや外部決済サービスと連携できますが、BtoBでは請求書対応が中心で、督促状の送付や電話対応など、かなりの手間がかかっていました。結果として、「売る」よりも「管理」に多くの時間と労力がかかっていたのが実情です。

未来のビジネスを見据えた、運命的な選択

AW:そのような課題がある中で、アパレルウェブとともにECサイトをリプレイスすることになった理由を教えてください。

中村さん:課題は大きく3つありました。
1つ目は、顧客情報の分断を解消し、BtoCの顧客情報を一元管理したいということ。
2つ目は、スマレジやShopify POSなどのPOSデータも含めて統合管理したいということ。
3つ目は、BtoBの売掛管理の業務を外部に委託し、攻めの業務に時間を使えるようにしたいという点です。
加えて、将来的には越境ECにもチャレンジしたいと考えていました。その中で、一元管理が可能なプラットフォームを調べていく中で、Shopifyに出会いました。多くのShopifyパートナー企業と話す中で、ECに強い企業はたくさんありましたが、「小売の現場理解に強い」パートナーは限られていました。その点、アパレルウェブさんは小売やマーケティングの現場に精通されており、連携実績も豊富だったため、ご紹介いただいたご縁もありお願いすることに決めました。

「見えなかった数字」が、未来を拓く羅針盤に変わった

AW:ECサイトをリプレイスして良かった点を教えてください。

中村さん:良かった点は本当にたくさんありますが、まず一番大きかったのは「データの可視化」ができたことです。今までは「誰がどれくらい買ったか」程度しか見えていませんでしたが、リプレイス後は「このお客様はこういう商品を購入しやすい」といった傾向や、「こういう行動を取るお客様はLTVが高い」といったことが見えてきました。
一例を挙げると、ワークショップに参加されるお客様は、平均で年間約30回以上もお店に足を運んでいただいていることが分かりました。
また、ECで広告経由の新規顧客は、リピート回数が平均1.3回と低かったのですが、1度でも実店舗に来ていただくと、平均3.7回に跳ね上がることも分かったんです。このように「どこにコストをかけて、どこに施策を打つべきか」が明確に見えるようになったのは、非常に大きな成果です。
越境ECに関しても、データからインバウンド比率の高さが見えてきました。直営店上位10店舗では、売上の約15%、原宿店では30%がインバウンドによるものでした。そこで、アパレルウェブさんの支援を受け、特にシンガポール、マレーシア、台湾、香港などに向けた施策を展開しています。

さらに、BtoBでも大きな変化がありました。これまで紙ベースで行っていた審査や債権管理がWeb化され、今まで見えていなかった数百万円規模の未回収債権が明らかになり、決済サービス「ペイド(Paid)」と連携することで債権が「ゼロ」に。これにより、電話で督促していた担当者が、今ではメルマガ作成やキャンペーンページ制作など、CRMやプロモーション業務に移行し、例えば「督促で1万8,000円を回収」していた人が「メルマガで30万円を売り上げる」といったポジティブな循環が生まれました。
toBでもtoCでも、担当者のモチベーションが上がってきたのが、最も嬉しい変化の一つです。

Shopify POSを活用し、ECと実店舗の顧客データをシームレスに連携。
AIがお客様の好みを診断し、パーソナルな香り体験を提案。

生活の木が考える次なるステージ

AW:今後、御社の事業展開や目標において、ECサイトをどのように活用していきたいとお考えですか?

中村さん:今後は、Shopifyを使って「オンライン上にコミュニティを作ること」を目指しています。ワークショップに頻繁にご参加いただくようなお客様は、買い物以上に、店舗でスタッフと会話したり、悩みを相談したりして、元気になって帰っていかれる方が多いんですよね。そういった場をオンラインでも提供したいと考えています。
具体的には、気軽に参加できるオンラインワークショップの予約・参加を可能にし、国内外問わず体験価値を提供していくつもりです。インバウンドの観点からも、外国人のお客様が来店前にその情報を確認できるようにすることで、来店の動機付けにもつながると思っています。例えば、「ハーブティーのおいしい淹れ方」などのライトなものからもっと上位な資格取得講座などを展開し、リアルでもオンラインでもお客様に体験いただける場を作っていきたいです。その結果としてLTVを上げ、EC・リアル店舗の両軸でお客様に楽しんでいただける環境を整えていきたいと考えています。

AW:それでは最後に、同じような課題を抱えている企業様へ、アドバイスやメッセージがあればお願いします。

中村さん:大きく2点あると思います。
1つ目は、「良いパートナーに出会うこと」です。ECリプレイスの際、「何を使えばいいのか」「自社の課題が何なのか」など、悩まれる事業者の方は多いと思います。その際、自社のビジネスを深く理解し、伴走してくれるパートナーを見つけることが、非常に重要です。
2つ目は、「自走できる仕組みと支援体制」です。Shopifyやアパレルウェブさんの強みは、私たち自身が運用・改善を回していけるようサポートしてくれる点です。Shopifyは、ちょっとしたアプリの追加で新機能を実装できたり、「こういうことをやりたい」というアイデアをすぐに形にできる柔軟性があります。それを前向きに実行できる担当者のモチベーション、そして実現を支えてくれるパートナーがいれば、継続的な成長は可能だと思います。
まずは気軽に相談してみて、「本当に自分たちのやりたいことに合っているかどうか」を確認しながら、導入を検討されると良いのではないでしょうか。


ビジネスにおける「次の一手」を、私たちと一緒に考えませんか?

生活の木様の成功事例は、日々の業務を改善することが顧客との関係性を深め、ビジネスを成長させる大きな原動力になることを示しています。
私たちは、貴社の現状に寄り添い、共に成長できるパートナーでありたいと考えています。
まずはお気軽にご相談ください。